
次なる照準は2度目のダービー出場へ
3月に春の大一番だった地元若松のSGクラシックを走り終えた後、松田大志郎は1カ月のフライング休みを経て、福岡の「どんたく特選レース」で復帰。上位クラスにも負けないパワフルな足に仕上げ、復帰節で優出2着と結果を残した。さて、次の目標はどこに定めているのだろうか。
「オールスター、メモリアルといった推薦で出場できるSGに出たことがないので、その流れを踏まえると次の目標はSGダービー(10月21日開幕、ボートレース津)ですね。でも、SGはひとつの目標ではあるけど、やることは変わりません。今までやってきたことを1走1走継続していくだけ。さすがに年齢も重ねて、無駄なスタート事故はしたくない気持ちはありますけどね。これからも攻める気持ちを忘れずに走っていきたい」
常に全力を尽くす
松田はどこか昭和の匂いを感じる選手だ。ピットでは勝負師らしい鋭い眼光を見せ、レーススタイルも勇猛果敢。そこに惹かれるファンは少なくない。例えエンジンが出ていなくても、諦めずに最善を尽くす。そうやって武器である整備力を磨いてきた。09年5月のデビューから16年の月日が経過したが、芯となる部分は今も変わっていない。
「自分における仕事の割合が何割かと聞かれたら10割なんじゃないですかね。だからといって家庭や家族はと聞かれたら、それも10割。仕事の時は仕事、休みの時は休みでオンとオフはしっかり切り替えたい。師匠(宮嵜隆太郎)や弟子(松本真広)のレースも休みの時は基本的に見ません。レースを見るとどうしても仕事モードに入って、気になってしまうので」
自分に関わる人の人生を明るくする
好きなイタリア語の言葉がある。「Mangiare、cantare、amore(食べよ、歌えよ、愛せよ)」。深く悩まず、前向きに生きるイタリア人が人生を豊かにする秘訣だ。自分に関わる人の人生を明るくする。それは舟券を通じて応援してくれるファンに対しての率直な気持ちでもある。
「仕事に対しての欲はあります。でも、それは勝ちに対するもので、ただの賞金稼ぎになったらダメだと思う。お客さんに責任をもって自分のレースを見せる。勝っても負けても納得してもらえるレースがしたい。引退するまでそれは変わらないです」
勝率への強いこだわり
ファンが目に見えて強さを知ることができるのは勝率、2連対率といった数字。それ故、純粋に出場権が勝率順で争われるダービーに対しての思い入れは強い。「ダービーは過去1回(21年)出たことがあるけど、本当に強い人しかいないなと感じました。紛れがなくてレベルが高い。そこで戦うためにも作られた数字でSGに行ったのでは意味がない。エンジンが出ていないからといって途中帰郷したりとか、そういうズルいことはしたくない。正々堂々と走った上で、権利を勝ち取りたいです」。
選考期間は7月末まで。首尾よく出場が決まれば区切りとなる自身10回目のSG切符になる。1走の重みを噛みしめながら、松田は今日も目の前のレースに全力を尽くす。