
豪快に決めたデビュー初V
2026年、篠原晟弥に2つの節目が訪れた。一つは4月の大村、3コースまくりで決めた初優勝。「優勝するなら1コースではないんやろうな」と本人も予感していた姿。一緒にいた同期の佐藤航に「優勝しようや。水神祭しようや」とハッパをかけられ、スイッチが入った。スタートはコンマ02。これ以上ないほど攻め切った勝利だった。
それは確立すべきレーススタイルにも通じる。自分をアピールするなら「内枠で堅いと言うより、外枠から穴をあけられる選手」。その究極はまくり屋だ。G2で大外まくりを決めたシーンも印象的。「そっちの方が格好いいし向いている」。その適性は十分にある。選手になる前から憧れた姿でもあった。「レースが格好いいし選手が格好よかった。今でも格好いい仕事だなと思う」。
ベストを尽くしても届かなかった一戦
もう一つの節目は5月の福岡どんたく特選。地元勢による激戦を勝ち抜き、初のシリーズリーダーにして優勝戦1号艇。「流れがいいしエンジンも出ていた。福岡は一番優勝したい場。こっちの方が優勝したかった」。
勝負をかけてコンマ03のスタートで攻め立てた。それでも3コースから仕掛けた新開航に軍配は上がる。この日は強い風が吹き、うねりの生じる荒れ水面。「まくりは気にせんとこう」と思うほど、攻め手に不利な状況だった。機力的にも2号艇の仲谷颯仁がライバルのはずだった。だが実際は、想像以上に新開の仕上がりが良く、想像以上にうねりはなかった。「Sも行ったし何回やっても同じ気がする」。振り返ってみても敗因の見つからない一戦。それだけに地元Vへの思いはさらに募った。
昇級に立ちはだかる壁と身近にある最高の教材
そんな篠原の人としての魅力は、弱点として漏らした「マイペース過ぎる」という言葉に表れる。あと一歩でA1に届かない現状。その要因を探ると、低調機を立て直せず勝率を落とす節に行き当たる。あまりバタバタすることは望まない。「自分のペースでやっていけば、A1になれる時は来るやろう」。その手応えはある一方、もっとがむしゃらにもがいていたら、もっと早く上に行けたのではないか。そんな思いも頭によぎる。
そう思う時、身近な先輩の姿が浮かぶ。学年は2つ、期は3つ上の竹下大樹。小学校の時から知り、選手受験も一緒に受けた間柄だ。選手としても福岡フレッシュルーキー、A1昇級と常に一歩先を行く。「エンジン出しもメッチャうまいし、ムチャクチャ仕事をする」。レースに向き合う姿勢で見ても一目置く存在。間近で見るその姿が一番のお手本になる。
マイペースのその先に
一方、「マイペース」は弱点とばかりは言えない。コースを問わない攻撃力、ここ一番での集中力や破壊力。レースで見せる強さの根源には、自分を信じて自分を貫く強さがある。
今の目標はA1昇級、そして福岡での初優勝。泥臭い努力の上に自分のペースを貫けば、目標達成の時は必ず来るはず。その時もやっぱり、イン以外なのか。豪快に攻めて穴を出す。そんなシーンを期待しながら今後の活躍を見守りたい。